国が定めた、室内濃度指針値

国が定めた、室内濃度指針値

わが国での、シックハウス症候群の危害情報は年間で300件以上を超えています。この報告に応じて、国では総合対策を行っています。
人生最大の買物である『家』が『病気になる家』では、どうにもなりません。では、具体的に国で行っているシックハウス対策はどのようなものなのでしょうか?

厚生労働省、国土交通省等の関係省庁は相互に協力をし、原因の分析、基準の設定、などの防止対策を行っています。その対策の1つとして、13の物質を挙げ、室内濃度指針値を設定しています。

特に、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの4つの物質に関しては、非常に高い汚染が確認されたことを受けて、指針が設定されました。
ホルムアルデヒドの指針値は、ヒトの短期間の曝露を防ぐことを指標として設定されています。対して、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンに関しては、長期間の曝露によって起こる毒性を指標としています。

他の9つの物質の指針値は、現在の科学的見地に基づいて、ヒトが基準値の濃度以下の曝露を一生涯受け続けた場合においても、健康を害さない値として設定されています。

物質の特性

1.ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色の気体です。この物質の35〜37%水溶液をホルマリンといいます。

建材としては主に殺菌防腐剤として用いられ、接着剤として合板やパーティクルボード等に広く使用されていましたが、平成15年7月、改正建築基準法によって、ホルムアルデヒドを発散する建材の面積が制限されています。(内装仕上げに使用する場合)

2.トルエン

トルエンも無色の液体ですが、シンナーのような強い刺激臭があります。建材においては、接着剤や塗料の溶剤や希釈剤が主な用途です。
その他、自動車等のエンジンのアンチノッキング剤としてガソリンに添加されることがあります。高濃度では、中枢神経にも影響を与えます。

3.キシレン

シンナーに含まれる有機溶剤の一つで、接着剤や清掃用ワックスに多く含まれています。
その他、アンチノッキング剤としてガソリンに添加されるケースもあります。臭いもガソリンに近く無色です。高濃度においては、目や気道に刺激を感じます。

4.パラジクロロベンゼン

パラジクロロベンゼンとは揮発性有機化合物の1種であり、常温で白い結晶の固体で特有の刺激臭があります。
通常、衣類の防虫剤やトイレの防臭剤として使われます。市販の防臭剤のほとんどの成分に含まれています。動物実験では、アレルギー疾患や肝臓障害などが指摘されています。

5.エチルベンゼン

エチルベンゼンとは常温では無色透明な液体で、主にポリスチレンの原料として使用されています。その他、油性塗料、接着剤、インキなどの溶剤としても広く使用されている混合キシレンの成分としても使用されています。

体内に取り込まれた場合でも、代謝され速やかに排出されるため、体内への蓄積性は低いと考えられています。

6.スチレン

スチレンは無色または黄色をおびた油状の液体で、特徴的な臭気を有します。

主に、ポリスチレンなどの合成樹脂、ABS樹脂、イオン交換樹脂合成ゴム、合成樹脂塗料の原料などとして使われることが多く、これらの樹脂を使用している断熱材、浴室ユニット、畳心材等、家具、包装材等に未反応のモノマーが残留していた場合には、室内空気中に揮散する可能性があります。
食品トレーなどに使われる発泡スチロールも、スチレンを原料としてつくられたポリスチレンを発泡させて製造したものです。

7.クロルピリホス

クロルピリホリスは、主に防蟻剤、殺虫剤などに利用されている物質です。

低濃度暴露の場合において、倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐などの人体への影響が報告されています。ラットの毒性試験の結果では、クロルピリホスは低用量でも新生児に影響を及ぼす可能性があるという結果が出されています。
以前は、シロアリ駆除に利用されていましたが、改正建築基準法が施行され、居室を有する建築物への使用が禁止されました。

8.フタル酸ジ-n-ブチル

タル酸ジ-n-ブチルは、無色または微黄色の粘ちょう性の液体で、建築用材としてはラッカー、接着剤、レザーなどの原料や各種合成樹脂の可塑剤として利用されます。
高濃度の蒸気は粘膜刺激作用がありますが、その揮発性は低いため、ガス暴露による中毒の危険性は実際的には小さいと考えられています。

9.テトラデカン

テトラデカンは無色透明な液体で、石油に近い臭いを有します。塗料の溶剤に使用されるほか、灯油が発生源となります。
高濃度では刺激性及び麻酔性があると報告されています。

10.フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

フタル酸ジ-2-エチルヘキシルは粘ちょう性の液体で、プラスチックの可塑剤として有名なものです。
塩化ビニル、ニトロセルロース、メタクリル酸、塩化ゴムに良好な相溶性があり、壁紙、床材、シート、レザー、電線被覆材などで利用されています。

11.ダイアジノン

純品では弱いエステル臭を有し、常温では無色のやや粘ちょう性の液体です。殺虫剤の有効成分として使用され、マイクロカプセル化したゴキブリ用残留散布剤としても有名です。
ダイアジノンによる中毒症状は、「7.クロルピリホス」とほぼ同じです。

12.アセトアルデヒド

刺激臭のある無色の液体で、沸点が20.2℃で高揮発性となっています。エタノールの酸化により生成され、主に接着剤や防腐剤、合成樹脂、合成ゴムなどの様々な化学製品に使用します。

さらには、タバコの煙にも含まれており、アルコールを飲んだヒトの体内でも生成され、二日酔いの原因になります。
高濃度の蒸気を吸入すると、気管支炎や肺浮腫、麻酔作用などがありますが、初期症状は慢性アルコール中毒に似ています。

13.フェノブカ

純品は無色の結晶でわずかな芳香臭があります。防蟻剤・その他水稲、野菜などの害虫駆除に使用されています。
家庭内では防蟻剤として用いられ、土壌に適切に処理された場合、室内への放散は低いと言われています。